スティーブ・ハリソンによる青白磁のマグカップです。2001年のものは白磁でしたので、こちらは意図的に鉄分を含んだ透明釉に替えて作られた彼なりの影青なのだと思います。2003年製の初期作品。
非常に薄造りな器体は緊張感がありますが、ろくろ成形による微かな螺旋状のくびれは色気も感じさせます。陶器でできたハンドルの色も緑青を思わせる色合いでとても美しい。
中国の宋代に生まれた影青は''線刻や型押の窪み"と"平面"の釉薬の厚みの差で生まれる淡い青の濃淡が見どころですので、その魅力を彼のスタンプに置き換えているのかなと。彼の作品に必ず押してある王冠と年号の刻印は恐らくイギリスのホールマーク(貴金属の証明刻印)をオマージュしているので、中国陶磁のテクニックと自国の文化を上手くミックスした作品だと思います。
色 : Qingbai ware
最大幅 : 11 cm
高さ : 7.8 cm
直径(上) : 7 cm
直径(底) : 8 cm
こちらは新品未使用品です。焼成時に舞った灰か何かが反応して外側に一点とマグの底に所々窯変が見られます。(写真9、10)僅かな変化ですが意図しない美しさがあります。
青白磁とは白磁の一種で、透明釉に含まれる微量の鉄分によって淡い青白色に発色したものをいいます。スティーブハリソンといえば塩釉のイメージが強いですが、細かく見ていくと唐代宋代の中国陶磁や日本の茶道具に対する関心が感じ取れます。