デノンの2ウェイパッシブスピーカー「USC-7800」です。
以下の整備を施しています。
・ ネットワークの更新
・ 吸音材の新設
・ 磁性流体の補充
・ バインディングポストの交換
ディバイディングネットワークのコイル以外のパーツを更新しています。(写真9枚目左下)
HF回路は電解コンデンサからPETフィルムコンデンサに変更。東信工業製です。LF側はエルナー製音響向け電解コンデンサを採用。
静電容量はいずれもオリジナルと同等です。
HF回路のサーミスタは撤廃。アッテネータのセメント抵抗器も新しくしています。
キャビネット内に吸音材としてフェルトシートを張っています。
また、各ドライバーの防磁カバーにもフェルトを巻いています。(写真9枚目右下)
ツイーターの磁気回路の磁性流体を補充しています。
背面のコネクターユニットのポストを、バナナプラグに対応するものに換装しています。(写真8枚目右上)
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キャビネット外観は、天面に薄い擦り傷(写真4、5枚目)と、片方の側面後方に引っかき傷(写真6枚目)があります。
また、片方の天面部の板材に、湿気による影響と思われる浮きがあります。(写真7枚目)
前面ネットは、穴や剥がれはありません。
なお、ネットは固定式です。着脱は原則できません。
スタンド部には、前オーナーによる塗装の補修跡が若干あります。(写真2枚目下)
底面にはフェルトシートを貼っています。(写真8枚目右下)
バインディングポストは、高低域ショート用の単線を挟みこんであります。 4mmバナナプラグが挿さるようになっていますが、Yラグなどの挟みこみは、形状によっては物理的な制約から使用できない可能性があります。ご留意ください。
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デノンのシステムコンポ「CONCEPT」シリーズの「D-7800」のスピーカー部。1988年から90年頃まで発売していた、当時の上位機種です。
キャビネット内部は蝸牛のような渦巻き型のダクトになっており、前面上部のポートに繋がっている「エアロチューブ」型。いわゆるバックロードホーン型に似た構造となっているのが最大の特徴です。
ツイーターは「G・Bホーン」と呼ばれる独自設計の矩形ホーンプレートを備え、大型マグネットでドライブさせます。
そのほか、MDF製専用スタンドが標準装備。バインディングポストはバイワイヤリング対応と、単品設計顔負けの本格的な仕様といえます。
豊かな低音が独特で、リッチな雰囲気を醸します。
ある程度の音量で鳴らしたくなるスピーカーです。
整備では、ダクト内に吸音材を新設してポートの中高音排出を抑制。混濁感を低減するチューンとしています。 ほか、ユニットとホーンプレートの接合部の気密性向上や、古いヤニの除去などを行っています。
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主な定格
・ 2ウェイ2スピーカー/エアロチューブ型/防磁設計
・ 本体寸法:165W x 490H x 293D mm
・ 重量:8.0kg
・ インピーダンス:8Ω
・ 最大入力:120W