李朝 飴釉11面取り壺(朝鮮 李朝時代)
美しく味わい深いその姿は、渋好みにとってはたまらない美しい小壺です。
尚、口元に一か所丁寧な金直しが施されていて、大切にされた証でしょう。
寸法(約)
幅: 11.4 cm
口径: 7.8 cm
高さ: 9.3 cm
底径 :6.0 cm
李朝時代後期(19世紀)には、へらによって胴部を削り落とした飴釉面取壺が流行したようです。
この作品の見どころは釉薬の流れと面取りの表情と、さらに稀に虹彩を発するような古色的な色合いで、角度によって壺の表情が変わります。
それに、意識的かどうか? 鉄釉の濃淡の斑が模様のように見えて,かえって美しい風景を醸し出しているようです。
もともとは調味料入などの生活雑器であり、擦れ疵があるのは生活道具として使われてきた証です。
韓国語では一般的に“ハチミツ壺”と称するようですが、前述のように調味料入などの生活雑器であり、必ずしも蜂蜜入ではなかったのでしょう。
胎土は、赤っぽいねっとりした唐津に似たような土です。
テカテカの高台の作品も数多くあるようですが、魅力に欠けています。
小さくても存在感があり味わいも充分あるので、観賞用、花器として楽しめる作品です。