色彩の変化が美しく、写真では分かりづらいかもしれませんが、釉薬はかなりピンクっぽく土味と合わせてストロベリーチョコレートのような可愛い水指でありながら、落ち着いた佇まいの作品です。さすが、波多野善蔵作といえる素晴らしい作品だと思います。
【波多野善蔵】
唐津の出身で幼少のころより中里無庵の一家と親しく陶土とも身近にふれあい、その後、唐津、伊万里で修行後萩焼窯元指月窯の養子となり萩焼名工の吉賀大眉からも指導を受けるようになる。制作当初は山口県展や日展に出品・入選を重ねていたが1977年に日本伝統工芸展に初入選となり以降、同展を中心に出品、81年には日本工芸会賞を受賞など活躍を示し2002年には山口県指定無形文化財の認定を受ける。伝統の萩焼の技法を用いた茶陶から現代的な雰囲気の花器類など幅広く製作し特に釉薬の発色に優れた井戸茶碗などに秀作を残す。