(抜粋/その2)
陶磁器収集は道楽と見做されるだけでなく、モラルの低さの表れとされることもあった。
1920年に出版されたエディス・ウォートンの小説「穢れ無き時代」の冒頭では、音楽アカデミーのミンゴット家のボックス席にオレンスカ伯爵夫人を見つけた口さがないローレンス・レファーツが、別居中のオレンスカ伯爵のだらしない性格をこう評している。
「ああいうタイプはいるものですよ。女にうつつを抜かしていない時は磁器を収集している。どちらにも金に糸目を付けずにね」
確かに、陶磁器収集にはあっさり深みにはまる恐れがある。
1725年に発表されたジョン・ゲイの詩「古い陶磁器に魅せられた夫人へ」にはこんな一節がある。
「陶磁器熱は彼女の魂/カップ、プレート、ディッシュ、ボウル/どれも彼女の胸に欲望の火を付け/喜びを燃え上がらせ、落ち着きを奪う」
アリス・モース・アールは、1896年に出版した『アメリカでの陶磁器収集』の中で、年に一度の陶磁器買付け旅行を「真夏の狂気」と呼び、入手困難な陶磁器を追い求める「情熱」を語っている。
2はここまで。
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一級品
ボタン剣
縁周り赤帯の下の細い金線に一部薄れがあります。金彩は特にセンター部分に硫化による赤色化が見られます。
保管に伴う多少のスレ以外にも白磁に所々プツッとした小さな凹みなどございますが、謂わばその時代ならではの特性であり、致し方無い事のように思います。
「やはりコバルトに金彩は、よく合います。」を受けて。
何を仰る、艶やかな臙脂にこそ、金彩はよく合います。
ご検討頂けましたら幸いです。
(御参考)
直径:約 23.7 cm
高さ:約 4.7 cm